ハノーファー万博 2000年
  はじめに テーマパーク 会場計画
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  交通輸送計画 カルチャー&イヴェント 参加国
  ワールドワイドプロジェクト 万国博覧会の歴史 ハノーファー
       
       
テーマパーク (GT 1997/2月号)
 
エキスポを構成する大きな柱は、「テーマパーク」「インターナショナルプ ロジェクト」「カルチャー、エンターテイメント、スポーツ」および「カントリー パヴィリオン」の4つのテーマ。今号では主にテーマパークについて紹介 してみたい。

まずインターナショナルプロジェクトだが、これはドイツ国内外でエキスポと同時もしくはエキスポ開催以前に、エキスポのテーマに沿って行われるプロジェクトのこと。エキスポの歴史では新しい試みで、限られた場所(ハノーファー)で、限られた期間(2000年6月〜10月)だけではなく、様々な場所でエキスポをON-GOINGイベントとして広めようというもの。

カルチャー、エンターテイメント、スポーツはその名の通り、エキスポ会場の屋内外で開催されるコンサートやスポーツ競技などのイベント。

カントリーパヴィリオンは参加各国が独自のパヴィリオンやホールを用いて、その国の技術や文化を紹介するもので、すでに約91ヵ国が参加 を表明している。日本は1996年の秋に橋本首相がコール首相に参加を約束、1997年3月の国会で正式な決定を決めた。

さて、一番の目玉とも言える テーマパークについてここで少し詳しく説明してみたい。テーマパークは4つのホールを使用、ルーヴル美術館の約2倍に相当する10万uの展示空間で開催される。

ここでは単に展示して訪れた人々が受け身で情報を得るのではなく、参加型で未来像を一体となって探り、様々な技術や知識を楽しみながら直接体験できる場所を作り出すことが目的となる。たとえば、地震や台風の擬似体験、ヴァーチャル技術を駆使した人体内旅行、最新プラネタリウムでの宇宙体験、訪問者と会話をするコンピ ュータなど、様々な試みが検討されている。

テーマパークは9つのテーマ「人間」「環境・景観・気候」「食糧」「健康」「知・情報・コミュニケーション」「労働の将来」「移動」「エネルギー」「生存条件」から成り立ち、これにテーマパークへの入り口としての 「新しいもの」、そして上記9つのテーマ展示を通った後のまとめとしての「未来の人間像」を加えた11のエリアが構成される。
 
予定で、その概要を以下に述べてみよう。
 
新しいもの THE NEW (ユートピアとヴィジョン)
人間社会の発達に伴い、将来への夢と展望が過去から現在にかけてどのように変化してきたか、現在と過去の比較が未来への方向を示す。
 
人間 MANKIND
頭脳、肉体はどのように機能するのか、テーマパークの心臓部にあたる。
 
環境・景観・気候 ENVIRONMENT,LANDSCAPE,CLIMATE
気候と景観を通して探る自然と文化との共生。
 
健康 HEALTH
人間と自然との関係、健康とは何か、各文化圏における健康観の違い。
 
労働の将来 THE FUTURE OF WORK
労働の定義の見直しと将来の労働像、先進国の問題と途上国の困難。
 
移動 MAN IN MOTION
人間に必要な移動と移動手段、人を移動に駆り立てる要素とは何か、移動性の拡大は何をもたらすか。
 
知 ・情報・コミュニケーション KNOW-LEDGE,INFORMATION AND COMMUNICATION
人間に必要な情報量とその方向、データハイウエーの行く末、人工知能とは何か。
 
食糧 NUTRITION
生きていく基本条件である飲食の必要量とその種類、増大しつつある世界の人口を飢餓から救うためにはどうすればよいか。
 
生存条件 BASIC NEEDS
澄んだ大気、清浄な水、十分な食糧と住居、21世紀の人類にとっての生存条件とは。
 
エネルギー ENERGY
資源は有限だが、需要は拡大する、人間に必要なエネルギー量とその確保について。
 
未来の人間像 NEW FRONTIERS
各テーマを総合した、21世紀の人類の姿。人、自然、技術の関係。
 
上記のコンセプトを元に、具体的な内容作りが始まろうとしている。それを支えるのが、外部団体および企業で構成されるワーキンググループとそのまとめ役のプロジェクトリーダー。ハノーファー万博公社の音頭のもとに、世界各国の専門家がEXPO 2000 HANNOVERの目玉であるテーマパークのために知恵を絞ることになる。たとえば、健康の テーマに関しては、エキスポ社の要請に応えてプロジェクトリーダーのWHOを中心としてドイツスポーツ協会やイェール大学、 カールツァイ ス社など14の団体・企業および個人がワーキンググループとして協力する予定だ。

また、つい最近このテーマパークをヴィジターにとって魅力のある姿に 味づけする展示責任者に、スイス建築家のF.コン フィノ氏が選ばれた。氏は大型催し物や学術展示のプロとして有名で、1992年に開催されたセヴィリャでのでのエキスポの世界博テーマ館「発見」を手がけたことでも知られている。テーマパークの建設部門だけではなく、展示の内容や各展示の部門統合などでも活躍が期待されている。

世界博覧会での新しい試みである「テーマパーク」の具体化はまだまだ初期段階だが、各国から様々なアイデアと技術が提供され、エキスポを訪れる人々が十分楽しめるものができあがるよう期待したいところだ。

<ハノーファーエキスポの子供用ホームページ>
EXPO fuer Kids が CoolWebアワード でドイツ最優秀の子供ページとして選ばれた。選考企業は国際的に活動するBurda New Media社の子会社で、アメリカをはじめ世界60ヵ国で青少年にコンピュータ 講習会を開いている futurekids(本社 アメリカ)。futurekids社は常 時WWWで青少年向けの健全で優秀なページを探し回っている。

http://www.expo2000.de/deutsch/ kinderexpo/index.html

CoolWebアワード選出の理由は「EXPO 2000のページは児童向きにできており、楽しく、教育的にも高い要求を満たし、技術的に完成されている」とし、futurekids社初めてのアワードをハノーファーにもたらした。EXPO 2000のホームページではゲームをし、世界中からのペンフレンドを見つけ、学校は自校のページをリンクさせて他の学校と交流できる。インターネットEXPO 2000はもちろん青少年向きのページだけではない。ドイツ初めての世界博を3年前にしてその構想の第1印象を得るのに最適と言える。目的、内容、プロジェクトについて美しいグラフィックページが展開する。1995年10月のスタートからすでに 100万以上のアクセスがあったという。
 
<ロゴ と マスコット>
形と色が常に変化する流動的なグラフィック模様が エキスポ2000のロゴ。波動は世界博が2000年の高い目標に向かってダイナミックに活動する様子をあらわし、21世紀への新しいインパルスを与えることを意味する。マルチメディアへの利用も考慮した新しいロゴが誕生した。
 
<Twipsy>
マスコットはEXPO 2000のテーマ<人間・自然・技 術>を一体化し、人の姿で動物的、加えて幾何学的なフォームも備えている創造物。バルセロナオリンピック(1992)のマスコット"Kobi"をつくったハヴィーアマリ スカルのデザイン。
(1997年6月)自動車オペルのモデル「ヴェクトラ」の呼称を生んだマンフレットゴッター氏の命名により、エキスポ2000のマスコットの名がトゥイプシーと決まった。