ワールドワイドプロジェクト (GT 1997/10月号) |
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EXPO2000のテーマ「人間・自然・技術」に沿って、新世紀に向けての問題提起を行う各国各地のプロジェクトが万博の<ワールドワイドプロジェクト>である。
その目的は、万博のテーマ、特に1992年にリオデジャネイロで開催された地球サミットで170ヵ国に承認されて署名された「AGENDA21」の趣旨に沿って、私たちが現在抱えている、もしくは将来直面するであろう問題への意識を分かち合い、
問題解決の方向を示すさまざまなプロジェクトを通じて、新しく迎える世紀を全世界的に人々と共に考えていくことである。ハノーファー万博公社はワールドワイ
ドプロジェクトの目標を次のようにうたっている。
●現在および将来の問題解決に向けて貢献することによって、人々に希望と勇気を与える。
●世界中のアイデアと経験の集積を分かち合う。
●国や大陸を越えたコンタクトをつくる。
●問題解決のためのグローバルネットワークを構築する。
●プロジェクト運営を行うNGOに、ハノーファー万博でフォーラムを開催する機会を与える。
ハノーファー万博に適したプロジェクトを選ぶため、万博公社は国際選考委員会を設置してその協力を得ている。この委員会は1997年7月にプロジェクトの選考を行ったが、今後1998年および1999年にも引き続き選考会を開催して、申し込みのあったプロジェクトの中から正式な万博のプロジェクトを選出する予定である。最終的な決定および承認は1999年に行われる。
ワールドワイドプロジェクトに承認されるには、テーマに沿っていること以外に、実質的な問題解決方法もしくはその方向を示すものであること、持続性があること、将来を考慮していること、同様の方法を他国にも適用できること、などが望まれている。現在約250に上るプロジェクトの申し込みがあり、こ中からほぼ70のプロジェクトが万博候補プロジェクトとして挙げられている。
戦争で破壊された古都ベイルートを再興するプロジェクト「ソリデア」(レバノン)、社会・経済・文化的に崩壊に向かうクレーインディアンのための「ケベックのコミュニテ
ィ構築」(カナダ)、手でネジを巻くことによって動くラジオを開発し、広める目的の 「パーソナルパワージェネレーション」(南アフリカ)などは候補の一部である。
ここで、候補プロジェクトのひとつである「太陽エネルギーの生産」を簡単に紹介してみたい。
アフリカではエネルギーの供給状態が悪く、たとえば電気が利用できる家庭は全体のわずか5%に過ぎない。そのため、照明は通常石油ランプが用いられている。Ludwig-Boelkow財団が行っている<SOLUX>プロジェクトの目的は、石油ランプに代わるソーラーランプ(太陽エネルギー)を発展途上国に普及させようと
いうもの。ランプは簡単なソーラーパネルで充電可能なソーラー電池を使用する。 1993年からワークショップがスタート、現在までにアフリカおよびラテンアメリカで行われ、今後アジアでも開催予定である。ソーラーランプの生産は各国の汚染を防ぎ、人々の健康に良いだけでなく、有限の石油資源の利用を減らし、職場を生
み出すので、各地で注目されている。
この他、もちろんドイツ国内でも活発な 動きが見られ、現在ハノーファーの位置するニーダーザクセン州から30近いプロジェクトが登録されたほか、各地から何百もの申し込みが来ている。
承認されたワールドワイドプロジェクトは万博に貢献することになるので、さまざまな形で万博の開催中に人々に紹介される。たとえば、会場で行われる各テーマ
のイヴェントの中に取り込まれ、それぞれ ふさわしい形式で万博のヴィジターに紹介される。そして、全てのプロジェクトは公式のカタログおよびCD-ROMとなって、
万博会期中に入手できるようになる。また、万博会場の中心のひとつであるテー マパークでは、特に各テーマにふさわしいプロジェクトが紹介され、各国のパヴィリョ
ンには、もちろんその国のプロジェクトが紹介されるであろう。
万博のテーマを各国に広げ、また各国の知恵を万博に集める役割をになうワールドワイドプロジェクトにより、ハノーファー万博は将来への提言を行う、真の国際イヴェントになることであろう。
<エキスポまで1001夜>
西暦2000年6月1日の開幕まであと1000日を記念して、1997年9月5日から7日までハノーファーの湖マッシュゼー湖畔で「エキスポまで1001夜」が行われた。湖面には大きなステージとスクリーンが設置され、ジョーコッカーやティクタックトゥー
などのポップコンサート、さまざまな専門家を招いて行われたハノーファー万博のテーマパークショー、世界旅行から帰ってきたマスコット「トイプシー」が活躍した子供たちのためのショーなどが、音楽と花火とレーザーショーに彩られて次々と何万人もの観客を楽しませた。この様子はドイツはもちろんのこと、ヨーロッパ各国のTV放送でも伝えられた。
<エキスポカフェ>
ハノーファー中心街にあるクロプケ広場に、1997年11月完成を目指して建築が 進められているのがエキスポカフェ。ガラス張りのトライアングルが基本型で、高さ
10m、面積580uのカフェには、毎日1000人の来場が期待されている。この未来型コミュニケーションセンターでは、コロンピアのコーヒーからギリシャのアルコールまでさまざまな国の産物を楽しみながら、エキスポについての情報を得ることができ
る。 |
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