ハノーファー万博 2000年
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交通輸送計画 (GT 1997/7月号)
 
万国博覧会EXPO 2000 Hannoverの期間中は1日平均して約30万人のヴィ ジターが予想され、ハノーファー市の人口が約50万人と聞けば、その数の多さが想像できる。1日のヴィジターの内約9万1000人がドイツ鉄道(日本のJRに相当)、5万9000人が市内交通(地下鉄やトラム)、7万5000人がバスおよびタクシー、7万5000人が自家用車(1台平均3人)で来場すると予想されている。ヴィジター数をある程度コントロールし交通の混乱を避けるために、万博の入場チケットは基本的に電車やバスの乗車券や駐車場券とのコンビチケットになる予定だ

万博は現在の見本市会場およびその周辺地域を利用して開催されるため、世界最大のコンピュータフェアCeBitなどをはじめ大規模な国際見本市のためにすでに整えられているインフラを利用することができる。それを補う形でヴィジターがスムーズに移動できるよう、様々な整備計画が1999年および2000年初頭を目標に立てられている。しかし、万博に伴う交通輸送計画は、万博だけを目的とした短期的・一時的なものではなく、2010年の状況を想定した長期展望の上につくられている。

主な交通輸送計画は次の通り。

●新インターシティステーション
万博会場の西側に新しいインターシティ(日本の新幹線に相当)の「ハノーファーメッセ/ラーツェン」駅が建設される予定。この駅は万博の際に追加運行されるドイツ国内および国際特急だけでなく、ドイツを南北に走る通常の路線(ハンブルク 〜ヴュルツブルク/フランクフルト間等)の停車駅となり、万博会場とドイツ国内および国外の都市とを結ぶ特急ネットワークができることになる。
現在のメッセ駅は、上記の新駅建設によって封鎖され、万博後も新駅が見本市のため利用されることとなる。約7500万マルクの投資とされる新駅工事は着々と進められ、すでに1998年初頭には完成する。

●都市鉄道(Sバーン)
上記のインターシティ駅に隣接して、都市鉄道(Sバーン)の駅が現在建設されている。これまでハノーファーにはSバーンはなかったが、長期的展望の下に東西に3路線、南北に2路線ができる予定で、特に空港〜会場間を結ぶ新路線は万博開催中に最も利用されるであろう。今まで唯一の移動手段であったバスにSバー ンが加わることにより、空港を利用する外国からのヴィジターはより快適に移動できるようになる。すべての路線は1999年までに完成する予定で、インフラにかかるコストは約6億8600万マルク(約470億円)、また電車および車庫などにかかるコス トは約2億6500万マルク(約180億円)と見込まれている。

●地下鉄・トラム/D路線
ハノーファーにはすでに12路線の地下鉄およびトラムがあり、市民の足として活躍 している。そのうちの8番路線はハノー ファー中央駅と現在の見本市会場を結ぶ路線として、ハノーファーの見本市を訪れる人々に貢献している。EXPO 2000 の開催に向けて新しくハノーファー市街と万博会場を結ぶ「D路線」が計画されている。駅は万博会場の東側に設置されることが決まり、路線および駅は万博の開催に間に合うよう2000年4月までに建設される予定。この路線は会場に隣接したクローンスベルクの住宅地域への足にもなる。
インフラに約4億4000万マルク、電車および車庫などに6億400万マルクが投資される。

●道路計画
万博を車で訪れるヴィジターの交通および万博関連物資の運搬をスムーズにするため、エキスポ環状道路などの整備が計画されている。エキスポ環状道路は万博会場を鳥過酷バイパスで、現存のメッセバイパスなどともリンクする。工事はすでに着工されており、97年末にはほぼ完成する。他に交差点を立体高架に変更するなどの工事を含め、約2億7500万マルクの経費がかかるとされる。
これらドイツ鉄道、都市鉄道、トラム、道路の交通計画に対する合計25億マルクの投資は、ニーダーザクセン州政府が17億マルクを、残りはドイツ政府が負担する。

交通関連でさらに次のような計画が検討されている。

●駐車場、パーク&ライド
万博公社は万博開催期間中に会場を訪れるヴィジターのために、約2万5000 台の収容可能な駐車場を会場に隣接して建設する計画を立てている。、また、万博会場の周囲の渋滞をできるだけ避けるため、駐車場を会場から離れた場所にも設置し、駐車場と会場間のシャトルバスを運行するパーク&ライド計画を並行して進めている。現在8ヵ所の計画が進んでいるが、そのうちの4ヵ所は会場に比較的近く、後の4ヵ所はヒルデスハイムなどハノーファーの近郊の町で、8ヵ所の駐車場の合計収容台数は2万台に上る。

●空港
ハノーファー空港でも拡張計画があり、現存のターミナルA、Bより規模の大きい、20機がドッキングできるターミナルCが2年間をかけて建設される予定。もちろん、銀行からレストランまで様々なサービスが提供される。

●UESTRA社
ハノーファー市内の公共交通機関、バスやトラム、地下鉄を運営する会社UESTRAは、万博に備えて新たに車両を増やす予定で、万博期間中に臨時のバスやトラムが運行される。バスやトラムはすでにエキスポのロゴをつけて走っている。

ハノーファーは現在でも国際見本市開催中に交通渋滞が発生し、また長・近距離および市内の電車も混雑する状態である。万博に向けてインフラが整い、万博期間中のみでなく、その後の見本市開催中にも人々がスムーズに移動できるようになることを、ハノーファー市民は期待している。

<ドイツパヴィリョン決定>
ドイツパヴィリョンの建築計画選考が終わり、シュトゥットガルトのフロリアンナーグラ ーの作品が選ばれた。入賞建築の特徴は開放性、透明性、親しみ、偉大さ、広がりなどで、いくつかの塔をもち、部分的に屋根が設けられる。総予算2億8000万マルク(うち建物部分は560万マルク)の建設は1998年初頭スタートする。